「杖」と「棒」
「杖(じょう)」と「棒(ぼう)」の相違については両者とも共通点はあるものの、基本的には似て非なるものです。前提として「杖」は本が杖(つえ)であり、「棒」は何らかの道具であると言う事です。従って一般的な事として、用途、形状、長さ、持ち方 等に違いがあります。
まず用途ですが、「杖」は本来歩行のための補助用具ですので、元々は着いて使用するものです。それに対し「棒」は何らかの目的に使用される道具であり、着いて使用する事は少ない傾向にあります。
形状は、「杖」は柄と先の異なるものが多く、「棒」は後先の区別のないものが多い傾向にあります。
長さは、「杖」は杖(つえ)として使用できる範囲のため、概ね三尺~六尺程度のものが殆どです。それに対し「棒」は用途により異なりますが、人が道具として使用するため概ね一丈二尺以内のものが殆どです。
持ち方は、「杖」は本が杖(つえ)であるため、中心より端の方を片手もしくは両手で持つ事が多い傾向にありますが、「棒」は長い場合は中心付近を両手で持ち、短い場合は端を片手で持つ事が多い傾向にあります。
以上は「杖」と「棒」についての一般論ですが、無論異なる場合もあります。しかし、これらの違いを念頭に置き杖道や神道夢想流杖術を学び、各流儀の「杖術」や「棒術」を見学する事も面白いと思います。