形稽古について
杖道の稽古形態は主に形稽古ですが、元々日本に於ける文化や技術の伝承形式として「形」あるいは「型」があります。杖道では通常「形」の文字を使用しますが、伝統芸能はじめ一般には「型」の文字を使用する事の方が多い傾向にありますので、ここでは主に「型」として記載します。
最近は「型にはめる」と言えば、自由を奪う事と勘違いされている風潮がある様に思います。良い意味で「型破り」と言う言葉が使われる事はありますが、これは基本的な「型」があって成り立つ言葉であり、これ無くしては「形無し」、すなわち無秩序になってしまいます。「型」は外観を繕っているものではなく、経験や必要性を実用のために再現出来る様にした優れた伝承形式です。そこには無駄を無くし洗練された、実用性による機能美もあります。
古武道/古武術の技の多くも「型」として残されてきました。一般の方々の武道に於ける「型」への認識は、「実際に打ち合うのではないから安全」「形(かたち)だけを覚えれば良いから簡単」「実戦では役に立たない」と言った処ではないでしょうか。しかし、実際の「型」の稽古は異なります。打ち合わず手前で止める事は防具を着用しないため危険を伴うからであり、形(かたち)だけで稽古をしていると理合が解らず怪我もします。実戦で経験した技、あるいはそれらのものに創意、工夫を加え、その技を再現出来る様にした究極のマニュアルが「型」なのです。そして、優れた「型」は感性を持ち、古よりの流儀の精神をも伝える事が可能と成り得ます。
当会に伝わる神道夢想流杖術および各併伝武術の形は、清水隆次先生直系の形を伝承しております。