警杖術
警杖術は、神道夢想流杖術の併伝武術ではありません。杖道とも異なります。警視庁および各道府県警機動隊が所持している警棒より長い棒を警察関係では警杖と言い、これを使用する技術を警杖術と言います。
神道夢想流杖術の技は、高山喜六、清水隆次 両先生による昭和2年の弥生神社(弥生廟、弥生慰霊堂)奉納演武にて警視総監であった宮田光雄の目に留まり、白石範次郎先生の命により上京されていた清水先生は、昭和8年に創設された警視庁機動隊の前身である警視庁特別警備隊(通称「昭和の新選組」、後の「警視庁予備隊」)に奉職されました。
清水先生が特別警備隊で指導されたのが神道夢想流杖術を基にした杖術の操法で、これを警杖術と称し、実際の警備に即した操法や技が考案されて行きました。警杖術が現在の様に系統的に整備されたのは昭和40年代の事で、清水隆次先生と警視庁の五人の高弟である我妻守雄、黒田市太郎、米野光太郎、廣井常次、神之田常盛の諸先生方が中心となりました。
警杖術は神道夢想流杖術を基にはしておりますが、今の時代の実際の警備に即したものであり、現代の生活様式、社会形態、法規 等も踏まえたもので一般には指導されておりません。
※神道夢想流杖術は警視総監であった宮田光雄に着目されましたが、警視庁特別警備隊の創設は内務省警保局長 松本 学、警視総監 藤沼庄平、警務部長 三島精也の三方の尽力によるものでした。松本警保局長は後に貴族院議員となり(財)日本古武道振興会設立の発起人ともなりますが、清水先生は松本警保局長が福岡県知事時代より知遇を得ていたため、古武道振興会設立に当たっても松本議員の命により尽力されました。